暗い部屋に入ると、とりあえず明かりををつけますね。よく見えないし、ぶつかったり踏んだりつまづいたりするおそれもあり、危ないですからね。
ただ、少し暗いとすぐつけるのではなくて、弱い光のなかで過ごしてみるのも一興です。しばらくすると目が慣れてきて、わりとよく見えるようになります。いままでにはなかった、暗がりの中だからこその情感がでることがあります。落ち着きます。
こういったことは谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』に記されていますが、現代の日常空間では、さらに感じにくくなっていると思います。いまでは、ちょっといいホテルやレストラン、バーなど、むしろおしゃれな空間で、その断片を感じることのほうが多いかもしれません。
明かりをつけることが当たり前になっている現代ですから、やはり明かりをつけるとしても、ひと工夫あるとずいぶん違います。
・間接照明や部分照明だけにしてみる
ほの暗さがのこります。
・ろうそくをつけてみる
ゆれる灯りと火のあたたかみが感じられる。
・上からの灯りではなく、下からの灯りにしてみる
床や台の上に置くタイプの明かりだと、部屋全体をのぺっと照らす明かりにはなりにくい。
天井から吊るタイプの明かりが出てくる以前の雰囲気を感じることができる。
・和室があるなら、障子からのあかりを楽しんでみる
和紙からやわらかい光がひろがります。
・白っぽいものを減らしてみる
白っぽいものがあると、反射で暗さが失われる。
いくらか電気代の節約にもなり、多少は掃除が行き届いてなくてもわかりにくくなるという面もありますよ(笑)