2017年5月5日金曜日

いつもより歩いてみる

100年ほど前まで、ほとんどの人は徒歩で移動していました。江戸時代にはお伊勢詣りが流行ったそうですが、健康な大人なら江戸から伊勢を15日ほど、大坂から伊勢を5日ほどで歩いたということです。
いまでは日常の移動手段として自転車、バス、電車、船、飛行機、自家用車などがあり大変便利になりましたが、代わりにずいぶん歩かなくなりました。田舎だとすべての場所にdoor to doorでほぼ歩きませんよね。


経験から、現代人の不調の結構な割合は、たくさん歩くことで解決すると感じています。ヒトの体は数万年単位で自然の淘汰を経てきました。様々な移動手段ができて100年かそこらの時間は、ヒトの歴史の中ではほんの瞬きでしかありません。微生物なら数分から数時間で次の世代に変わって目まぐるしく環境の変化に適応していきますが、ヒトは世代交代の周期が20年から30年ほどであり、100年程度で急激な変化に最適化するようにはできておらず、いまも原始時代と同じようにたくさん歩いている状態でこそうまくまわるようにできているのです。

では、たくさん歩くことの何がいいかというと、なんといっても、無料!Free!  免費!  Gratis!  Kostenlos! ほとんど効果がなく時には副作用もあるわりにぼったくり価格である健康食品やサプリ、トクホ、さまざまな医療サービスより、断然おすすめです。
金銭面以外では、疲れます。例えば眠れない人。2時間も歩けば、晩はぐっすり眠れます。医者で睡眠薬をもらう必要はありません。睡眠薬だと力が抜けたりボーっとしたりすることもありますが、歩くと全身に力が湧いてきます。
足腰が強くなります。足腰はすべての動作の基本です。「立つとフラフラする」という高齢者は多いですが、リハビリで足腰がしっかりしてくるとフラフラはなくなることが多いです。逆に、よく歩いていながら「ふらふらする」という人はあまり聞きません。プラシーボ効果(鰯の頭も信心から)がほとんどの「めまい」の薬を医者でもらわなくていいです。鰯の頭の方が魔除けにもなっていいかもしれません。
やせます。歩いて遍路をしたことがありますが、毎日40Kmくらい歩いていると、山海の幸を楽しみつつ白米を茶碗に山盛り4杯おかわりしていても体重が減っていきました。減肥茶不要。
血圧や血糖、脂質の値がよくなります。特茶や黒烏龍茶なんていりません。
便通もよくなると言われています。青汁不要。
また、さまざまな景色を楽しめます。車や自転車が通らず自然が多いところ、水のあるところがおすすめです。四季折々の風物。人、動植物との出会い。素敵なお店を発見できることもあります。こういった楽しみのためには、ときには立ち止まりながらゆっくり歩くのがおすすめです。昼間は車が多いところでも、早朝なら静かでゆったり歩けるところもあります。車が多くない通りなら、住宅街でもまた違った楽しみがありますよ。
いろんな歩き方がありますが、目的地か時間を決めると歩きやすいです。駅や寺社、お店まで行って帰ってくる。ちょっと遠回りする道を選んでみる。30分や1時間など、時間を決めて歩く。往復するのもいいですが、片道はバスや電車にすると目的地の選択肢が広がります。いつもは自転車やバス、電車で移動しているところを歩いてみるのもいいですね。
呼吸や手足の動かし方はいろいろな流派がありますが、それを気にするほど一生懸命に歩かなくてもいいでしょう。自分で歩きやすいように楽に歩けばいいと思います。服装や靴も普段使っているもので十分です。
ただ、若干の注意も必要です。慣れない人がいきなりたくさん歩くと、足腰を痛めます。また、暗い時間に歩く場合は周りに気をつけてください。人や無灯火の自転車とぶつかったり、車から見えずにはねられたりする可能性があります。どうしても夜というのでなければ、明るい時間帯に歩きましょう。

今日は天気もいいし、出かけてみてください!